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表紙


パステル色の思い出はあの音
下村昇・著 / リブリオ出版・刊 / 1600円(税別)

ある日曜日に、ひょんなことからこの物語の聞き役になってしまった凌雲景太郎先生。
彼は物書き業をなりわいにしているとはいえ、この日の思わぬ出来事、すなわち、大福寿寺で、幸司くんのお母さん・本田多美子さんから思いがけない話を聞いてしまいました。
多美子さんの話は「人間としての心の叫び」命の大切さ、悲しくもせつない話でした。そればかりか、大福寿寺の稔堂和尚も「本当の人としての魂、人間のありよう」を心配し、心を痛めていました。日本はこれでよいのだろうか、日本の教育はこれでよいのだろうか。もう一度みんなで考えてみようではないか、というのです。
凌雲景太郎はこの本の最後に「命の教育」は人間の追求だという小見出しを立てていますが、「人間とは何か」、まさしくこれがこの本の根底にある意図なのかもしれません。


前著『心配めがねの物語』『こわれたとうふ』に続く三部作として、本書『パステル色の思い出はあの音』をお読みいただくと著者三部作の執筆意図がはっきりとわかることでしょう。