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あなあき もじえほん『かんじ2』

下村昇・作 / 冬野いちこ・絵 / あかね書房・刊 / 1100円



書きの教え方=漢字の口唱法


                           現代子供と教育研究所・下 村  昇

漢字は点や線の組み合わせですから、点や線を組み合わせることによって全ての漢字が書けます。それらの点や線の種類を二十四にまとめて口唱法はできています。これを「漢字分解の二十四の要素」といいます。これが口唱法の唱え方のもとになります。たとえば次のようなものです。
一……よこ(よこぼう)
\……たて(たてぼう)
ノ……ひだりばらい
、……てん
 これらの唱え方を使って、幼児にはこんなふうに唱えさせるのもおもしろいでしょう。
田……たて かぎ かいて なかに たて よこ そことじる
山……たかいたて たてまげかいて たておろす 山がかけたよ たかいやま
石……よこぼうかいて ノをかいて たて かぎ かいたら そことじる こ石が いっこ できました
 これをさらに節をつけて歌わせます。こんなふうにです。
田……♪(ゆっくりめに)たぁて かぁぎ かいてぇ、
    (少し弾んで)なかぁに たって よこ
    (またゆっくりめに)そぉこ とじる
 そうすると子どもはおもしろがります。さらにタンバリン(手拍子でもよし)で調子をとって唱えましょう。すると子どもは踊り出します。おもしろがったらまたタンバリンを叩きながら歌ってやりましょう。
 そして次には気分転換に「今度はお尻で書いてみようよ」といって、お尻を突き出させお尻で書かせます。子どもの頭の中にはきちんと「田」という字ができあがっていますから大丈夫です。
 今度は鼻の頭で書かせましょう。当然、首を動かして「たぁて かぁぎ かいてぇ……」と唱えるわけですから、「かぎ かいてぇ」とか「そぉこ とじる」などでは、お母さんは子どもと同じ方向に首を動かしてやらなければなりません。これが指導のコツです。その他にも、床を走って大きく体全体で書かせるとか、いろいろ工夫してください。
 一つ注意があります。一度おもしろがったからといって長時間やらせないことです。一度に長時間やらせるよりも、「少しずつ毎日」ということの方が効果が大のようです。


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