2003年3月28日 朝日新聞夕刊「BOOK TIME」 にいま注目の本として掲載されました。

著者は、文字の教育指導法として定評のある「口唱法」の創案者。40年にわたって
教育現場で支持されてきた理由は、歌いながら漢字や平仮名・片仮名などを覚える方
法の有効性にある。たとえば「拝」という字を覚える場合、「よこ たてはねて も
ちあげて よこぼう4本 たて長く」とリズミカルに歌う。「総」は「糸へんに ハ
ム こころ」である。漢字の筆順通りに、しかも口と手を連動させて覚えていくとい
うわけだ。
口唱法は一定の法則に基づいている。字画の多い少ないには関係がない。文字を形作
る基本となる点画及び特徴的な点画24個について名称をつけている。「うかんむり」
は「ウとかいて」、「にんべん」は「イとかいて」といった具合だ。それに加えて、
唱え方の原則が設けられている。その結果「観」「勧」など子供が苦手とする漢字も
容易に覚えることができるのである。
本書を一読すれば、いかに口唱法が漢字の習熟に際して優れた方法か実感できる。著
者は「従来の文字指導で効果の上がらなかった子供たちが、生き生きと主体的に取り
組むようになる」と断言する。ことばを豊かにし、読む力を獲得させるために、そし
て何よりも、子供の学習意欲、目的意識を向上させるために本書の活用をすすめたい。
(ちなみに、沖縄県平良市の狩俣小学校では県指定の研究校として学校を挙げて「口
唱法」の実践に取り組んで、効果を上げている。当校の実践研究は今年で三年目を迎
えるという。)